2012年9月5日水曜日

雑誌

「ファッションが教えてくれること」という映画を借りてみた。

VOGUEのアメリカ版の名物編集長アナ・ウィンターのドキュメント。

「プラダを着た悪魔」でメリルストリープが演じた、
「ランウェイ」編集長のモデルだそうだ。

2007年の9月号特大号の編集過程を地道に追っている。

部下の苦労など意に介さず、
自分の感性(我がまま?)でバッタバッタと企画を葬り去る、
そんな冷酷無比な鬼編集長ぶりを期待していたけれど、
そういう意味では肩すかしだった。

むしろ、
彼女と同期で入社し、
今は彼女の下で編集者として働くグレイスの働きぶりに、
より多くの時間をさいている。

編集長と編集者というのは、
全く違う職業だと思う。

編集者は自分が作りたい紙面を全力で作る。

編集長はそれらの仕事をパッケージングして、
「売れる」雑誌に仕上げる。

編集者は自分の企画を少しでも多く採用されたい。

もちろん自分の仕事に自信もある。
グレイスの作り出す紙面は芸術だ。

一方編集長は最終的に「売れるか否か」を基に、
企画の採否を判断する。

二人の指向性は異なっているから、
衝突するのは当たり前だ。

何よりもファッションは生ものだ。

締め切り間際までバタバタするのは、
日一日と流行が動くファッションの、
最新の姿を最上の形で捉えたいという、
至極最もな感覚からくるのだろう。

編集者が用意した最上の食材を、
最後の最後まで手間を惜しまず、
最高の料理に仕上げる。

で、
ここからが肝心なのだけれど、
編集作業が終わった瞬間、
彼女らにとって9月号はもはや「過去」ということだ。

出来上がった雑誌を胸に、
感慨に浸っている暇はない。

さっと忘れて、
次の仕事に取りかかる。

その潔さがカッコいいと思う。

●業務連絡。元町には木曜日に参上いたします。


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