この日はボリビアからアメリカへの移動日。
旅の最大の目標も果たし、
正直、
ホッとしてたんだよね。
やっぱりアメリカに行けばさ。
ちょっと安心な気もするし。
それが大間違い。
この旅で最悪の一日になる。
そもそも、
ボリビアのラパスからアメリカのマイアミを経由して、
ラスベガスに行く予定だったんだけど、
ボリビアからの飛行機が、
エアコンの故障で2時間ぐらい遅れたわけ。
それでも、
まぁマイアミでの乗り継ぎには何とか間に合うと、
たかくくってた。
ところが。
マイアミでの入国審査で難癖つけられ、
なかなか通してくれない。
細かいことは書きませんが、
とにかく、
「お前、ちょっと別室へ」
ってことになったわけ。
その別室には、
ぼく以外にも、
「ちょっとこい」連中が集められていた。
見るからにワルそうな男の子や、
きわめてフツーにみえるおばさんや。
とにかく余計なことはせず、
ひたすら待っていたら、
係員の女性がやってきて、
ぼくの乗る飛行機について尋ねるから、
「早くしないとラスベガスの便に間に合わないんだけど?』
と聞いてみたら、
女性は、
「残念だけどその便は無理ね」
とこともなげに。
おーまいがーっと。
明日の朝はラスベガスからグランドキャニオン観光なんだけど!
そうこう絶望しているうちに、
同じように待たされていた黒人の太った女性が騒ぎ始めた。
要するに、
わたしゃ何にも悪い事してないのに、
なんでこんなとこで待たされなきゃなんないの、
って、
泣きながらわめき散らしているわけ。
気持ちは同感なんだけど、
そんなに騒いで大丈夫?
と思っていたら、
やっぱり別室の別室に連れて行かれちゃった。
女性は別室の別室の中でもわめき散らしていて、
このままじゃ逮捕されちゃうんじゃないかって、
心配したけど、
それより自分のことが大切。
俺こそどうなるんだ?
かれこれ2時間待たされ、
ようやく名前を呼ばれ、
いくつか質問に答えたら、
あっさり放免。
なんじゃいなそれは、
と思いながら、
アメリカン航空のカウンターで、
乗れなかった理由を説明して、
次の便に乗りたい旨を話すと、
「今日の便はもうないから」
がーん!!!!
「このクーポンでこのホテルでシャワー浴びて少し寝ろよ」
係の男性はそう言って終わり。
ホテルへは歩いて行けるの?
ノー、
そこからシャトルバスが出てるから、
それ乗って。
仕方なく空港の外に出るけど、
どこにシャトルバスが来るのやら、
さっぱり分からず。
それでも、
しばらくウロウロしていたら、
ホテルの名前が書かれたバスが来たわ。
確かに。
クーポン見せて乗り込んで、
空港から何キロか離れたホテルに連れて行かれた。
そのホテルは、
さすがにアメリカンで、
決して一流ではなかったけど、
ペルーやボリビアに比べれば格段によかった。
これがクーポン。
とにかく、
こうなったら仕方がない。
飛行機は翌朝しか飛ばないのだ。
旅行会社の事務所に一応電話して、
翌日のグランドキャニオン観光をキャンセルして。
真夜中だったけど、
夕飯のクーポンもあったので、
とりあえず食べることにした。
チキンサンド。
これがやっぱり美味しかった。
気づいたんだけど、
ペルーやボリビアって、
マヨネーズがないんじゃないの?
このサンドイッチのマヨネーズ味が、
なんともなつかしいような、
ほっとするような。
部屋に備え付けの珈琲マシーンも、
使ってやった。
とにかく入国はぼくにとっては鬼門だわ。
安心できるはずのアメリカで、
この旅最大のアクシデントに見舞われた。
ラスベガスでは、
スロットマシンぐらいして、
もう日本に帰ろ。
心身疲れて、
ちょっとヤケになってた。
空港行きシャトルバスは5時半。
わずかな仮眠をとる。
そうそう。
笑えたのは、
ラスベガス行きの便がないと言われたころ、
別のカウンターで大声でしゃべっている女性がいたの。
その女性、
さっき別室の別室に連れて行かれた、
あの黒人女性じゃん!
なんでアンタここにおんねん!
って。
あれだけ騒いでも大丈夫なんだったら、
ぼくも少しは文句言えばよかったかも?