JR大阪駅東口から阪急百貨店に行く途中の、
大きな横断歩道の手前に、
托鉢のお坊さんが立っている。
割に若くて、
黒ぶち眼鏡をかけている。
目を閉じているのでよく分からないけど、
いわゆる「いい男」風だ。
毎日というわけではないのだが、
そこを通勤路にしているぼくは、
ひたすら立って、
恐らく経文と唱えているであろう彼を、
しばしば見かける。
その度にぼくは、
自分も喜捨をと思いながら、
周囲の目を気にして躊躇し、
通り過ぎてしまう。
元日の昨日も、
彼はそこにいた。
意外なことにというか、
そのあたりのお店が軒並み休業だから当然というべきか、
その時は、
普段は人で溢れ返っている横断歩道の手前には、
あまり人がいなかった。
ぼくは「今日しかない」と、
半ば反射的にジーンズのポケットを探り、
小銭を取り出した。
500円と100円が出てきて、
少し迷って100円を鉢に入れた。
どこの寺の僧侶か。
はたまた新手の「路上生活者」か。
何にも分からない。
でも、
彼が長年、
そこで立ち続けて何事かを祈っていることは事実で、
ぼくは、
ずっとたまっていたモヤモヤが、
少し晴れた気がした。
●今日も大阪に行ったが、昨日とは打って変わって、福袋を下げた人たちでごった返していた。彼の姿はなかった。
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