2009年1月2日金曜日

托鉢

JR大阪駅東口から阪急百貨店に行く途中の、
大きな横断歩道の手前に、
托鉢のお坊さんが立っている。

割に若くて、
黒ぶち眼鏡をかけている。
目を閉じているのでよく分からないけど、
いわゆる「いい男」風だ。



毎日というわけではないのだが、
そこを通勤路にしているぼくは、
ひたすら立って、
恐らく経文と唱えているであろう彼を、
しばしば見かける。

その度にぼくは、
自分も喜捨をと思いながら、
周囲の目を気にして躊躇し、
通り過ぎてしまう。



元日の昨日も、
彼はそこにいた。
意外なことにというか、
そのあたりのお店が軒並み休業だから当然というべきか、
その時は、
普段は人で溢れ返っている横断歩道の手前には、
あまり人がいなかった。

ぼくは「今日しかない」と、
半ば反射的にジーンズのポケットを探り、
小銭を取り出した。
500円と100円が出てきて、
少し迷って100円を鉢に入れた。



どこの寺の僧侶か。
はたまた新手の「路上生活者」か。
何にも分からない。
でも、
彼が長年、
そこで立ち続けて何事かを祈っていることは事実で、
ぼくは、
ずっとたまっていたモヤモヤが、
少し晴れた気がした。


●今日も大阪に行ったが、昨日とは打って変わって、福袋を下げた人たちでごった返していた。彼の姿はなかった。

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