一貫して否認してきた容疑者が、
一転「落ちる」時、
捜査員と容疑者、
本来、
敵味方の関係にある二人の間に、
「ふわっとした感覚」が生まれるのだという。
「警視庁捜査二課」(萩生田勝著、講談社)によると、
そういうことらしい。
著者は元警視庁警視。
39年半の警察人生を終えたばかりの、
生々しい記録である。
「ふわっとした感覚」が生まれた時、
「ホシ」は聞かれてもいない殺人事件まで自供することさえあるのだという。
どんな取調官でも、
という訳じゃない。
著者は言う。
いい取り調べをするためには、ホシなりその事案なりを徹底的に探求することが肝要です。ギャンブルもやらない、苦労も知らない。失敗もしたこともない。こんな刑事ではいい調べはできません。大勢の刑事を見てきましたが、ギャンブルが好きな奴。金の苦労をしてい奴。家庭の問題で悩んでいる奴。何度も失敗を重ねた奴。こんな刑事がけっこういい調べをするんです。
いくらかの苦労を背負って生きているから、ホシの気持ちも分かるのでしょう。浅く広くでもいい。いろいろなことを学びながら、いい刑事は育っていくものなのです
何となくわかる気がする。
多くの善と悪は、
結局、
この世で割り振られた役回りに過ぎないのかもしれない。
立場が違っても、
通い合うものが生まれた時、
人は人として、
真実を話し出す。
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