街にコブクロの「桜」が流れている。
もうそんな季節か。
また四季のサイクルが巡ったのだ。
この歌を聞くと、
花びらを揺らす暖かな風の感触とともに、
「希望」や「始まり」の予感がする。
そして同時にぼくにとっては、
「惜別」や「慟哭」の切ない余韻でもある。
近所の公園の桜は、
子どもの頃から生えていた。
幹のそばにベンチがあって、
そこに腰掛け、
何度も仰ぎ見てきた。
桜の花が必ず散るように、
だれも同じ場所に留まることはできない。
自分から踏み出そうが、
他人に押し出されようが、
いずれその場をハラハラと去らねばならない。
時に誰かと共に。
時に一人きりで。
ぼくの多くをこの桜は知っている。
咲き誇る花に包まれた笑顔も。
寒さに耐える枝の下で、
ウイスキーをあおりながら流した涙も。
一年のほんの数日見せる春爛漫。
それはぼくの愚鈍な人生について、
「それでもいいんだよ」と、
肩ごしに囁いてくれているのかもしれない。
●情熱大陸は堺雅人。なるほど演技がうまいはずだと納得の経歴でした。
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