2009年4月22日水曜日

音速

先日見た演出家蜷川幸雄のドキュメントで、
素人役者として起用された、
とぼけた味のじいさんが、
元は自衛隊の戦闘機乗りで、
すごい音をたてているコックピットが、
音速を超えた瞬間、
静寂に包まれるのだと言っていて、
妙に感心した。

一日一回転する地球の表面に張り付くぼくらは、
時速1500キロほどのスピードで振り回されている。
それは時速340キロの音速をはるかに超える。
こうしてPCに向かっているぼくも、
本当は音速を超えて移動しているのだから、
静寂に包まれればいいのに、
日々喧噪の中で右往左往している。



今日のプロフェッショナルには「武装解除のプロ」という、
32歳の女性が出ていた。
「武装解除」という言葉と「プロ」という言葉が、
どうにも馴染まない。

「平和のプロ」とか、
「幸せのプロ」とか、
「人生のプロ」とか変でしょ。
それと同じ。

人生や、
その集積としての歴史の一回性を思う。
どんな賢人であっても人生については素人だ。

孔子だってキリストだって、
音速の5倍で振り回されながら、
「初体験」の人生を右往左往したに違いない。

●清水由貴子が自殺したと知って驚いた。頭の中にあるノホホンとしたイメージと、硫化水素自殺というリアルさが結びつかない。

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