貧しさから、
マンホールの中で暮らすモンゴルの子どもを、
10年にわたって追ったドキュメントを、
BSで見たら切なくなった。
「主人公」というべきボルト君は、
一時は建設会社に働き口を見つけて、
社長賞までもらうほど頑張ったのに、
自力で建てた家(小屋?)の土地を登記してなかったために、
追い出され、
そこから歯車が狂っていく。
大人になった彼は、
空き缶やびんを拾って換金しては、
その日を食いつなぐ毎日。
元妻は親友にとられ、
子どもにも会わせてもらえず、
その元妻も、
16歳で産んだ子どもに会えぬ苦しさから、
二人して酒浸りになっていく。。。
数年おきに取材したものの総集編だったので、
10年間の彼らの浮沈(といっても基本的に沈んだままだ)が、
わずか2時間ほどで紹介される。
その短時間で少年(少女)は大人になり、
幼さゆえ、
どこか明るさのあった表情からは、
夢も希望も消え、
「貧困」だけが刺青のように刻まれる。
にしても、
こういう取材をする人たちは、
どういう倫理観を持っているのだろう。
自分たちの懐にある「円」で、
彼ら数人ぐらいの運命は変えられるはずだが、
それは絶対にしない。
不幸にまみれていく姿を、
ただただカメラに収める。
その「冷静さ」は職業的には正しい。
ライオンに食われる鹿をいちいち助けないのと、
基本的に同じだ。
でも、
ぼくにはできないだろう。
不幸の連鎖。
不幸の拡大再生産。
不幸は伝染する。
そんな迷信じみた考えが、
リアルに思えた。
●前に大家族ものの番組で、いきなり夫婦が離婚してしまって、企画そのものが終わってしまったことがあった。その時の「救いのなさ」に似ていた●「ミスティック・リバー」。前に観た時は、サスペンスとしてイマイチだと思ったことを思い出した。改めて観ると、これは全然サスペンスなどではなかったことに気づいた。ブッシュ政権への痛烈な皮肉でもあるが、それ以上にこちらも「不幸の連鎖」を感じた●「不用不急」じゃなきゃ外出するなって、ぼくなら仕事以外にないなと思うと、少し寂しい。にしても、国民にマスク、マスクっていいながら、なぜあの国会議員の面々はしないのだ●裁判員制度が始まった。
不幸も、
インフルのように、
伝染するのだ。
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