2009年5月22日金曜日

連鎖

貧しさから、
マンホールの中で暮らすモンゴルの子どもを、
10年にわたって追ったドキュメントを、
BSで見たら切なくなった。

「主人公」というべきボルト君は、
一時は建設会社に働き口を見つけて、
社長賞までもらうほど頑張ったのに、
自力で建てた家(小屋?)の土地を登記してなかったために、
追い出され、
そこから歯車が狂っていく。



大人になった彼は、
空き缶やびんを拾って換金しては、
その日を食いつなぐ毎日。

元妻は親友にとられ、
子どもにも会わせてもらえず、
その元妻も、
16歳で産んだ子どもに会えぬ苦しさから、
二人して酒浸りになっていく。。。

数年おきに取材したものの総集編だったので、
10年間の彼らの浮沈(といっても基本的に沈んだままだ)が、
わずか2時間ほどで紹介される。

その短時間で少年(少女)は大人になり、
幼さゆえ、
どこか明るさのあった表情からは、
夢も希望も消え、
「貧困」だけが刺青のように刻まれる。



にしても、
こういう取材をする人たちは、
どういう倫理観を持っているのだろう。
自分たちの懐にある「円」で、
彼ら数人ぐらいの運命は変えられるはずだが、
それは絶対にしない。

不幸にまみれていく姿を、
ただただカメラに収める。
その「冷静さ」は職業的には正しい。
ライオンに食われる鹿をいちいち助けないのと、
基本的に同じだ。

でも、
ぼくにはできないだろう。



不幸の連鎖。

不幸の拡大再生産。

不幸は伝染する。

そんな迷信じみた考えが、
リアルに思えた。

●前に大家族ものの番組で、いきなり夫婦が離婚してしまって、企画そのものが終わってしまったことがあった。その時の「救いのなさ」に似ていた●「ミスティック・リバー」。前に観た時は、サスペンスとしてイマイチだと思ったことを思い出した。改めて観ると、これは全然サスペンスなどではなかったことに気づいた。ブッシュ政権への痛烈な皮肉でもあるが、それ以上にこちらも「不幸の連鎖」を感じた●「不用不急」じゃなきゃ外出するなって、ぼくなら仕事以外にないなと思うと、少し寂しい。にしても、国民にマスク、マスクっていいながら、なぜあの国会議員の面々はしないのだ●裁判員制度が始まった。





不幸も、
インフルのように、
伝染するのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

遺志

30日は親父の13回忌だ。 あーそんなになるのか、 と言うのが率直な感想。 親父が亡くなる直前、 僕は酒を辞めた。 復職して最初のボーナスが出た日、 入院していた病院に行って報告した。 もう親父はかなり弱っていて、 ほとんど喋れなかった。 でも...