2009年6月21日日曜日

左右

モハメド・アリとジョー・フレイジャー。

ボクシングヘビー級で、
1970年代に3度拳を交えた二人のドキュメントをBSで見た。

特にフィリピンで行われ3度目の対戦は、
史上最高の試合と言われているそうだ。



14回まで戦い抜いた二人は、
ともに限界を超えていた。

決定的なドラマは、
15ラウンドまでの、
わずか1分の間に起きた。

王者アリがセコンドに、
「グローブを外してくれ」と言ったというのだ。
つまり、
自ら負けを認めていたということだ。

一方、
フレイジャーはやる気満々。
そのままゴングが鳴れば、
アリは椅子から立つことなく、
フレイジャーが勝つはずだった。

ところが、
フレイジャーのセコンドがゴング寸前、
勝手に試合を止めてしまった。



フレイジャーにしてみれば、
泣くに泣けない敗戦である。

しかしセコンドにも、
かつてリングで選手を死なせてしまった過去があった。
そしてその時、
フレイジャーの目は、
ほとんど見えていなかった。

フレイジャーを「死なせたくない」。
そう思ったとしても無理はない。



その後、
アリはアメリカの「伝説」になったが、
その後パーキンソン病に侵された。

フレイジャーは今、
フィラデルフィアのしけたジムで寝泊まりする生活。
ミリオンダラー・ベイビーで、
モーガン・フリーマンのやった役そのままだ。



どちらが幸せかは分からないけど、
あの時のたった1分の間の出来事が、
二人の人生を大きく左右したことは間違いない。


●中学生の時、この試合は見た記憶がある。実際は、もっと複雑な要素が絡み合っていて、見ごたえがあった●元町→三宮→住吉、土曜日のフルコース。唯一、またもペンギンさんに会えなかったことだけが心残り。

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