読売新聞朝刊で連載していた、
「約束 がんを生きて」が終わった。
21歳で若年性乳がんにかかった大原まゆさん(享年26歳)の、
最期まで前向きだった闘病生活を、
同じ病を抱えた記者が「がん友」と呼び合い、
支え合い、
励まし合った5年余の記録だ。
第一回はこんな形で始まった。
電話の声はいつものように明るく、張りがあった。
「がんの進行は思ったより速いけど、毎日を楽しもうという気持ちは変わらない。動けるうちは動きたい」
3月下旬。若年性の乳がん患者、大原まゆさん(26)は私(30)との電話でそう口にした。がんは全身に転移していた。「残りの時間を意識する今、もっとリアルに生や死について語れると思う」
これが最後の会話になった。5月9日、まゆさんは自宅のある札幌市内の病院で逝った。乳がんとの5年余の闘いの終わりだった。
私は新聞記者になる直前、23歳で乳がんの宣告を受けた。再発への不安や治療の後遺症に苦しんだが、相談できる同世代の患者はいなかった。支えてくれたのが、まゆさんだった。
彼女は右乳房を部分切除したが、「同じ病に苦しむ同世代の役に立ちたい」と体験をブログで公表。闘病記は出版、映画化された。
おしゃれで食べ歩きや映画も大好きだった。「病気に心まで支配されたくない」「どれだけ生きるかではなく、どのように生きるかが大切」。そう語る〈がん友〉の揺るぎなく素直な生き方を、記事にしたいと2人で話し合った。
訃報(ふほう)を聞き、勤務地の大阪から駆けつけた。遺影を見つめ、まゆさんがメールに記した言葉を思った。「がんになったからこそ得たものがある」
乳がんのこと、命のことを伝えたいと願いながら、逝った友。私には、果たすべき約束が遺(のこ)された。(佐々木栄)
記事には緑茂る木々をバックに、
屈託なく笑う大原さんの写真が添えられていた。
記者と大原さんの思いが伝わってくる連載だった。
本気の言葉は、
確かに伝わるものだなぁと、
しみじみ思った。
●久々、元町でペンギンさんを発見。元気そうでなによりだ●マイケルが、ファラ・フォーセット・メジャーズが死んだ。かなりショックだ。
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