2011年3月15日火曜日
去来
東日本巨大地震を伝える読売新聞のグラフ面。
見開き紙面の約半分を占める巨大な写真が秀逸だ。
荒涼とした大地にたたずむ男女。
男の目線は遠くにあり、
まぶたは泣き腫らしたようにも見える。
女は傍らの地面を見つめる。
体は脱力し、
今にも崩れ落ちそうだ。
二人は互いに手を握り合って、
かろうじて立っている。
キャプションにはこうある。
8ケ月の長男と両親がいた家があったと思われる場所に立ちすくす夫婦。3人は行方不明だという(宮城県名取市、13日午後2時41分)
あぁ
二人の足元の荒涼と見えた大地には、
住宅が立ち並び、
乳飲み子と両親らが暮らす町だったのだ。
その平凡で幸せであったであろう日常を、
津波は、
たった30分で跡形なく奪い去った。
そう
家財道具や思い出の写真どころか、
瓦礫や焼けた柱や瓦すら残さず、
この二人の生活を根こそぎ消してしまったのだ。
遠くを見渡しても、
生活の痕跡はどこにもない。
一枚の写真が、
何千行の文章より雄弁に伝えるものがある。
動画のリアルさはないけど、
見る側の想像力をかきたてる。
二人の心に去来する思いは。。。
そして、
紙面には二文字だけ見出しがある。
命よ
命よ、
何とかけがえなく、
そして儚いものよ。
どこへ行ったのか。
どうか、
どこかにあってくれ。
そして再びこの手に戻ってきてくれ。
この光景が、
夢か幻だと言ってくれ。。。
この紙面が言いたいことは、
そういうことだ。
●こういう写真って、遠慮して撮りにくいものだと思う。でも、だからこそ撮らねばならないのだ。この写真は、望遠レンズではなく、普通のレンズで接近して撮られている。よくぞ撮ったと、カメラマン魂に敬服する●福島第一原発がいよいよ危ない。今(午前2時20分)、2号機の炉心が「空だき」状態になっているという。このままの状態が続けばメルトダウンは不可避だ。本当の本当に深刻な事態だ。世界が固唾を飲んで見守っている。
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