相乗りの相手は、
かなりの先輩。
しかも女性。
何度かご一緒させていただくのだが、
その度に会話に困る。
こちらから話しかけない限り、
車内はあの嫌な沈黙に満たされる。
ぼくは心の中で、
話しかけるべき話題を吟味しつつ、
あることを待っていた。
5分ほどの沈黙ののち、
ついに彼女は動いた。
バッグの中からiPadを取りだしたのだ。
待っていたのはこの時。
ぼくは彼女がアイパッドを持っていることを、
前回一緒だった時に確認していたのだ。
「それ新しいアイパッドですか?」
「あ、古いやつ。じゃあぼくと同じですね。しかしホント便利ですよね、これ」
つかみはオッケー。
それからはアイパッド話で盛り上がり、
あっと言う間に時間は過ぎて、
ぼくの家に先に到着。
「いろいろ教えていただいてありがとう」
感謝までされて、
作戦大成功である。
これからはもう、
嫌な沈黙ともおさらばだ。
そういう意味でも、
マイパッドありがとう。
●久々に元町に行ったら、いつもの元町だった。戻ってきた日常。