2012年3月9日金曜日

渋面

夕方出勤するや否や、
年に一度ぐらいしか話をしない上司が、
ぼくのところへやってきた。

実際、
この前に話したのは、
去年のこの時期、
同期がぼくの上司になると伝えにきた時だった。

あの時は何か嬉しそうな笑顔だったが、
今日はまさにこれぞ「渋面」という表情をしてる。

何かミスったか!

と振り返る間もなく、
「お前なぁ」



「・・・」



「四月から・・・」



「●●にするわ」



・・・・!


●●って、
仕事上の資格のことで、
役職とはまた違う。

年齢とともに上がる、
まぁ定期昇給みたいなもんだ。

出世とは縁遠いぼくでも、
この年になればそういう事もあるわけだ。

でもまぁ、
退職金にかかわる事でもあるし、
決して悪い話ではない。

つまりこの上司は、
部下に朗報を伝達しているわけだが、
それにしては、
なんでこんなに渋面してるのかねぇ?

ということで、
ぼくも喜ぶわけにもいかず、
努めて冷静に、
「そうですか。ありがとうございます」とだけ返事。

すると、
その上司はあっという間にぼくの視界から消えた。

何か言いたくないけど、
仕方ないから言っておくわ、
みたいな印象だった。

やっぱりこの人には好かれてないらしい。

どうでもいいけど。

礼なんて言わなきゃよかったったぜ。

でもその上司はいざ知らず、
どこかでぼくを支持してくれる人もいるわけだ。

でなければ、
だれにでもある定昇すら、
ぼくにはない可能性だってある。

その誰かさんに感謝しつつ、
ただただ自分が納得する仕事をするのみ。

上司のために仕事してんじゃねぇ!

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