「ONE PEACE」一気読みも、
やっと60巻を超えた。
現実の進行にもうちょとで追いつく。
とりあえずここまでのざっとした感想を書いてみよう。
この漫画はすでに連載15年になるのだが、
開始当初に作者が今のような展開を予想していた、
ということはまずあり得まい。
最初は一粒の種のようだったお話が、
15年という時間を経て、
大木に育ったという感じがする。
はっきり言って、
最初の方はそんなに面白くない。
少年ルフィが海賊王になると宣言し、
旅先で仲間を増やしていくという、
まぁ単純な筋立てだ。
絵もそんなに上手いとは思えないし、
たぶんこのころは作者も編集者も、
こんな大木に育つとは感じていなかったのではないか。
それが俄然面白くなるのが、
世界政府に捕われた兄のエースを助け出すというあたりから。
それまで試行錯誤してきた様々な手法が、
一気に融合して爆発的に展開する。
登場人物もぐんと増えて、
台詞は細かく、
絵も緻密になって、
最初のころは寝る前の15分ほどで読めたのに、
今では数日に分けないと終わらない。
そうやて物語が厚みを持つ一方、
読者を迷子にさせないような工夫に、
かなり知恵を絞っているのが感じられる。
一番特異に思うのは、
このエースというのが、
かなり始めの頃に一度出てくるんだけど、
ずっとほっとかれていたキャラだった点。
かなり唐突に救出話になって、
それまでの仲間は全部抜きで大展開して、
とある決着をみて、
それからエースとルフィの過去が語られる。
そういう「あとから説明」的な手法は、
ほかの場面でもいくつかあったけど、
このエースの部分は一番典型的。
普通は逆でしょ。
たっぷりな伏線があって、
それから盛り上がりがやってくる。
それはつまり、
あまり先のことを考えずに書いているということではないか?
とりあえず描いちゃって、
必死で後始末するような感じ。
でもその感じがこの作品の、
ちょっとハチャメチャな魅力と一体になっている。
この漫画は、
有名漫画家が始めた大作ではなくて、
若手作家が15年間、
試行錯誤を続けた成長の書だなと感じる次第。