不妊の原因の約半分は「卵子の老化」によるものだと、
NHKが大宣伝していて不愉快になった。
全国の不妊治療の専門家へのアンケート結果だというが、
そういう原因があるから不妊治療を受けにくるわけで、
いわば当たり前のことではないか。
逆をかえせば年齢がいくつでも、
卵子が老化していない人は不妊治療を受けない。
大体「老化」という言い方が不適切だと思う。
そういう言い方をするならば、
筋力とか柔軟性とか、
加齢にともなう生体機能の衰えはすべて「老化」だし。
男性だって高齢になれば精子も老化するだろう。
不愉快だと書いたのは、
こういう言い方がまかりとおることで、
高齢出産の子どもがいわれなき偏見を受けるような、
そんな気がしたからである。
体力のあるなしと同様、
こういうのは個人差が激しくて、
若くても体力のない人もいれば、
高齢でも体力ばりばりの人もいる。
そのへんのことをすっ飛ばして、
「卵子の老化」という言葉だけが、
一人歩きするのが嫌なのである。
それに、
初診患者の平均年齢が35歳以上と答えた割合が、
10年前の20%から77%に上がったとも報じているが、
それは不妊治療を受ける人が増えたということと、
ほとんど同じ意味だと思う。
つまりぼくがいいたいのは、
不妊治療が進歩して、
従来なら諦めていた人たちが多く受診するようになった。
その結果の当たり前の数字を、
ことさらに「卵子の老化」などと言っているに過ぎないということだ。
NHKは「子どもは若いうちに産め」みたいな、
社会的風潮を作り出したいのだろうか?
何らかの勢力による少子化対策と考えるのは、
歪んだ見方だろうか?