2009年7月16日木曜日

切符

昼ごろ起きて階下に降りると、
たなかりかさんの「Colors」が届いていた。

彼女の初メジャーCDだ。

初めて彼女の歌を聞いてから、
かれこれ5年ぐらいにはなる。

決して熱心なファンではなかったが、
年月を経てこうして結果を出した彼女を思うと、
やはり嬉しい気持ちになる。



そうしていたら夕方、
磯崎憲一郎氏が芥川賞受賞のニュース。

年齢がほぼ同じで、
同じ会社員(三井物産とは知らなかったが)であることもあり、
デビュー作「肝心の子供」から注目してきた。

受賞作「終の住処」は、
新潮掲載号を買って読んだ。

受賞インタビューで自身が述べているように、
「時間」がこの人のテーマで、
デビュー作から文章の密度はどんどん増し、
表現したいことの焦点が絞りこまれてきている感じがしていた。

半年に一作、
原稿用紙100枚ほどの短編を書き、
一昨年の文藝賞、
昨年の芥川賞候補、
そして今回の受賞。

まさに計画通り登頂に成功したという感じだろう。



もちろん、
メジャーデビューしていない素敵な歌手は一杯いるし、
芥川賞をとっていない優れた小説家も大勢いる。

でも、
彼らが「切符」を手に入れたことは間違いない。

他人よりより早く、
より遠くまで行ける切符。

それがないと「中」へ入れない切符。



先日のクローズアップ現代で、
このあいだ亡くなった囲碁の藤沢秀行名誉棋聖を取り上げていた。

入院中の病院で亡くなる寸前、
筆を手にした藤沢氏は、
一気にこの五文字を書いたという。


強烈な努力


おととし死んだ親父の姿を見て、
今際の際の人間は普通、
鉛筆一本持てないほど衰弱するものだと知っているだけに、
藤沢氏の、
余りに力強い筆致に驚嘆した。


強烈な努力


それなくしては、
切符を手にすることはできない。


強烈な努力


何と激烈な遺言か。


●実際の文字を載せようと探し回ったが見つからず、挙句の果てにNHKオンデマンドの会員になってしまった。30分のクローズアップ現代が210円とは高すぎないか?●石川遼の全英挑戦。初日はタイガーと回るという。世界中が彼らに注目する●イチローがオバマにサインをもらって喜んだ。逆だろ、普通は。いや、やっぱオバマか?

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