芥川賞の受賞式で、
作家磯崎憲一郎氏はこう語った。
「小説、芸術という大きな肯定的な力に奉仕する存在でありたい」
「奉仕」という言葉の使い方が、
とても新鮮だった。
「奉仕」には「無償の労働」という意味があるけど、
それは単に、
プロではない、
あるいはアマチュアであるということだけではないだろう。
また、
奉仕という言葉には、
宗教的背景がたぶんに含まれていると思うが、
磯崎氏は「小説に奉仕する」のであり、
決して「小説の神に奉仕する」のではない。
小説それ自体の、
可能性の拡大に寄与したいという感じかと思う。
ひいては、
小説を通じて読者たる人間に奉仕することでもある。
アマチュアと言えば、
映画「ボビー・ジョーンズ」で、
その語源がラテン語の「愛」であることを知った。
ボビー・ジョーンズは、
伝説のゴルファーとして有名であるが、
プロにはならなかったのだということは、
ちっとも知らなかった。
初のグランドスラムを達成した1930年、
彼は28歳で現役を引退し、
その後は弁護士業のかたわら、
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを設計し、
現在の4大大会のひとつである、
マスターズ・トーナメントを創設した。
プロ化が加速するスポーツに、
奉仕という言葉は馴染まないかもしれないが、
彼などはまさしく、
ゴルフに奉仕した人と言えるだろう。
「球聖」と呼ばれる訳が、
やっとわかった。
そういえば、
先日の情熱大陸で、
ミャンマーの子供たちを無償で治療する医師を紹介していた。
凄い人が行きつく先は、
すべて同じなのだ。
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