ゴルフは、
選手同士の勝負である上に、
自分の心と、
何より自然を相手に闘うスポーツだ。
100人を超す選手が、
数人ずつ順番にスタートするのだから、
最初から最後まで、
同じ1番ホールでも数時間の差がある。
だから、
同じコースであっても、
同条件という訳にはいかない。
突然の風や雨もそうだが、
日中と夕刻では芝生もわずかながら成長し、
特にグリーンでは、
そのコンマ数ミリの違いが、
バッティングのタッチの差となってくる。
しかし、
そういうすべての「不公平」を自明のものとして引き受け、
選手はスコアを争う。
300ヤードを超えるドライバーも、
1センチのパットも、
1打は1打だ。
その1打が、
人生を変えるほどに決定的な意味を持つこともある。
だからゴルフはどんな競技よりも、
人生にたとえられやすいし、
特に、
自然条件の移り変わりが激しいリンクスの戦いでは、
その趣が強くなる。
全英オープン3日目を終わって、
トム・ワトソンが単独首位に立った。
かつてジャク・ニクラウスに次ぐ、
「新帝王」の称号を欲しいままにした伝説の男が、
59歳にしてこの位置にいること自体驚異であり、
また、
ゴルフの奥深さを象徴している。
今回と同じターンベリーというコースで、
彼が優勝したのは32年前だそうだ。
タイガーや石川遼を飲み込んだコースを、
飄々とプレーするかつての新帝王。
テレビは、
32年前の古びた映像と、
ライブ中継を交互に映し出す。
ぼくの頭の中は、
伝説と現実が交錯して、
時間の感覚が狂うような、
不思議で満たされた。
●人生で一番大切なのは「他人に迷惑をかけないことではないか」という話を人前でしていたら、知らないうちに時間がたちすぎて、他の人の話す時間を減らすという、迷惑をかけてしまった●映画「ごくせん」を母と観に行った。その話はまたいずれ。
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