2009年7月19日日曜日

飄々

ゴルフは、
選手同士の勝負である上に、
自分の心と、
何より自然を相手に闘うスポーツだ。

100人を超す選手が、
数人ずつ順番にスタートするのだから、
最初から最後まで、
同じ1番ホールでも数時間の差がある。

だから、
同じコースであっても、
同条件という訳にはいかない。

突然の風や雨もそうだが、
日中と夕刻では芝生もわずかながら成長し、
特にグリーンでは、
そのコンマ数ミリの違いが、
バッティングのタッチの差となってくる。



しかし、
そういうすべての「不公平」を自明のものとして引き受け、
選手はスコアを争う。

300ヤードを超えるドライバーも、
1センチのパットも、
1打は1打だ。

その1打が、
人生を変えるほどに決定的な意味を持つこともある。

だからゴルフはどんな競技よりも、
人生にたとえられやすいし、
特に、
自然条件の移り変わりが激しいリンクスの戦いでは、
その趣が強くなる。



全英オープン3日目を終わって、
トム・ワトソンが単独首位に立った。
かつてジャク・ニクラウスに次ぐ、
「新帝王」の称号を欲しいままにした伝説の男が、
59歳にしてこの位置にいること自体驚異であり、
また、
ゴルフの奥深さを象徴している。

今回と同じターンベリーというコースで、
彼が優勝したのは32年前だそうだ。



タイガーや石川遼を飲み込んだコースを、
飄々とプレーするかつての新帝王。

テレビは、
32年前の古びた映像と、
ライブ中継を交互に映し出す。

ぼくの頭の中は、
伝説と現実が交錯して、
時間の感覚が狂うような、
不思議で満たされた。


●人生で一番大切なのは「他人に迷惑をかけないことではないか」という話を人前でしていたら、知らないうちに時間がたちすぎて、他の人の話す時間を減らすという、迷惑をかけてしまった●映画「ごくせん」を母と観に行った。その話はまたいずれ。

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