2009年11月3日火曜日

五感

五感を失った人からは意識もなくなるはず。

そういう文を書いた覚えがあって、
ブログを「五感」で検索してみたのだけど、
どうにも見当たらない。


というのも、
「ぼくらの頭脳の鍛え方」(立花隆、佐藤優著、文春新書)に、
こんな立花隆の記述(正確には対談なので言葉)があったからだ。


人間から視覚を奪い、聴覚を奪い、あらゆる皮膚感覚を奪っていくと、自分と自分を取りまく世界とのつながりが失われていき、自分がある客観世界に属した存在であるという一切の感覚が失われ、世界が崩壊します。それとともに自己の存在感が失われ、自己が失われ、幻覚世界の中に自己が溶けだしていくような感覚におそわれます。それと同時に、いつのまにか意識が失われ、眠りに入ってしまいます。


どうしてそんなことが分かるのかというと、
認知科学に感覚遮断実験というのがちゃんとあるそうだ。

立花氏はこの実験をもって、
カントのいう「純粋理性」は存在しないと言う。


想像でしかないけど、
たぶんそうだと思う。

仮に脳だけを取り出して保存する方法があったとしても、
その人の自我は保存できないだろう。

同様に、
仮にぼくの脳を誰かの体に移植したとして、
その体は「ぼく」だろうか。

SFに出てきそうな話だけど、
きっとそれは「ぼく」ではない。


そういうことを突きつめると、
現在ある「ぼく」という意識の根源みたいなものが、
いかに薄弱なものかがわかる。

「ぼく」の同一性は、
生物としての体の連続性によってのみ、
担保されているわけだ。


●塩分濃度の高い水に浮かんで、音や光を遮断する「アイソレーションタンク」というのが、その実験に近い状況を与えてくれるらしい●クリント・イーストウッド初監督作品「恐怖のメロディ」をDVDで。非常に面白いというか、怖かった●それにしても寒い。みなさん体調に気をつけましょうネ。

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