ペンギンさんが走ってきた。
手に「THIS IS IT」の半券を握りしめて。
先週ぼくが勧めたら、
その翌日一人で観に行ったのだそうだ。
「よかったー」と感激の様子で、
紹介者としてぼくも嬉しかった。
ところが、
ペンギンさんの喜びは映画だけではなかった。
映画館に一人で行ったのは、
生まれて初めてなのだとか。
世は「お一人さま」の時代である。
数多ある娯楽の中で、
映画鑑賞ほど一人に向いているものはないと、
そう言っていいと思うのだが、
世間では喫茶店にさえ一人で行けないという人が、
今でもいる。
特に女性に多い。
ペンギンさんもどうやらそのクチだったようだ。
何事も「初」とか、
「単独」がつく行為は特筆される。
ペンギンさんにとっては「初」でしかも「単独」。
画期的な事件だったのだ。
初めての一人旅。
初めての一人暮らし。
初めての一人舞台。。。
一人や孤独が平気なぼくではあるが、
初めての時のことは、
どれも鮮烈な記憶として残っている。
嬉々として喜ぶペンギンさんを見ながら、
人生に一度きりの、
そうした「単独」の初体験を、
ぼくはあと幾つ残してあるだろうと、
少し羨ましく思った。
●毎日新聞が共同通信と業務提携。単独では生き残れないようだ。新聞業界大再編時代の幕開けだ。
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