ジョニー・デップが主演しているという、
ただそれだけの理由で「パブリック・エネミーズ」(マイケル・マン監督)を観た。
1930年代のアメリカで、
「公共の敵」と呼ばれた実在のギャングと、
FBIとの追いつ追われつを描いた作品だ。
日曜の午後とあって映画館はほぼ満席。
実際かなり期待していたのだけど、
ぼくは途中で腕時計を見てしまった。
それぐらいの出来に思った。
やはり実話に引きずられるというか、
色々なエピソードを詰め込みすぎていて、
どれもが消化不良に陥ってしまったようだ。
それはともかく、
ジョニー・デップ扮するデリンジャーの恋人役が、
最初顔を見てもわからなかったのだけど、
声を聞いているうちに「エディット・ピアフ」でピアフを好演した、
マリオン・コティヤールだと気付いた。
それから劇中、
「BYE BYE BLACKBIRD」がスローバラードで流れる場面があって、
すごいいい声の歌手だなぁと思っていたら、
場面転換の間際、
ダイアナ・クラールが映っていた。
実在のデリンジャーは義賊みたいな存在だったようで、
大衆は彼とその仲間たちの犯罪の鮮やかさに、
喝采を贈っていたらしい。
日本でいえば石川五右衛門みたいなものか。
当時は世界恐慌の真っただ中。
世界中が暗かった。
犯罪といえどデリンジャーらはヒーローで、
彼らに出し抜かれるFBIは間抜けな引き立て役だった。
だからFBIは「公共の敵」なんてあえて名付けて、
威信をかけて彼らを追い詰めた。
ブッシュがイラクを「悪の枢軸」と呼んで、
戦争を正当化したのと少し似ている。
石川五右衛門は釜ゆでにされる時、
「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」と、
辞世の句を詠んだとか。
デリンジャーも死ぬ間際、
ある言葉を言い残す。
そこは明らかに脚色なのだけど、
それにぼくは少しグッときた。
●キムタクが海パン一丁になって熱湯風呂に入るシーンを目撃した。ちょっと驚いた。
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