学生時代決まって読んでいた雑誌は、
漫画を除けば「朝日ジャーナル」だった。
「硬派」
「左寄り」
様々な捉え方があったけど、
本当に世の中への目を開かしてくれる雑誌だった。
「Forsight」は久々の定期購読雑誌で、
今度は世界に目を開かせてくれると期待していた矢先だったから、
休刊は本当にショックだ。
同誌の創刊は1990年3月。
何とぼくが社会人になった翌年のことだ。
新潮社の文庫本なんかに、
宣伝のチラシが入っていることが多かったので、
ずっと気になっていた。
20年たってようやく踏み切ったところ、
いきなり休刊だもの相当に参った。
「Forsight休刊のお知らせ」というメールが来たのは16日のこと。
その中で理由が3点上げられていた。
(1)厳しい出版状況に直面する中で、全社的な事業の再編、特に雑誌部門の見直しが避けられなくなったこと
(2)二十年間の健闘はあったものの、今後の収支改善の見通しが立たないこと
(3)インターネットの普及で、国際政治経済情報を扱う月刊誌の役割が大きく変化したこと
新聞報道によると、
発行部数は2万2000部余りという。
一冊1000円だから、
2200万円で一号作られている計算になる。
それが採算に合うレベルなのかどうかは、
ぼくにはちっとも分からないけど、
恐らく赤字だったのだろう。
20年まで持ちこたえたのは、
大手出版社だということと、
それなりの矜持があったものと思う。
にしても、
こうした良識ある雑誌がなくなるのは、
なにか取り返しのつかないことではないか。
例えば岩波書店の「世界」が休刊するとしたらどうだろう。
朝日新聞社の「朝日カメラ」が季刊になるとしたらどうだろう。
優れた雑誌は言うまでもなく「文化」だ。
公的資金を投入しても、
とは極論にしても、
何か方策はないものだろうか。
何事にも潮時というものがあって、
紙媒体も本格的に退潮の時が来たのだなと実感させられる。
●両誌に共通するのは広告が少ないという点だ。その視点から見ると、次に読むべき雑誌は「週刊金曜日」しかない。
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