2009年12月15日火曜日

最悪

イラク戦争を批判した「華氏911」や、
銃社会に異議を唱えた「ボウリング・フォー・コロンバイン」で知られる、
映画監督マイケル・ムーア氏が来日していた。

新作「キャピタリズム」の宣伝のためだ。

彼がNHK「クローズアップ現代」に出演していた時、
「資本主義は悪だ」と言い切っていた。


その昔、
イギリスの首相だったチャーチルは、
「民主主義は最悪」とも言っている。


資本主義は悪

民主主義は最悪


そう悪態をつきながらも、
とりあえず「資本主義」で「民主主義」であるのは、
単にぼくたちがそれよりマシな政治態勢を、
考え出せないということに過ぎない。

ベルリンの壁が崩壊した時、
資本主義の社会主義に対する勝利だと、
ぼくは心底思ったわけではないが、
冷戦という厄介な荷物がようやく降ろせたのだとは感じた。

だって社会主義は窮屈で暗く、
資本主義は自由でハッピー。
そんな教育しか受けてこなかったのだから。


あれから20年たって思うのは、
人間の叡智の最新の到達点が「最悪」ならば、
人間の存在そのものが「最悪」なのかもしれないということだ。

それは言い過ぎだとしても、
これから起きるであろう変化が、
必ずしも良い方向であるという保証はどこにもない。


少なくともそういうことに自覚的になった分、
ぼくは成長したかもしれない。

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