夕方、
住吉のジャンカラに行った。
受付には先客が一人。
背中しか見えないけど、
間違いなく若い男の子で、
よれたジャージにパーカー姿。
手にコンビニの袋だけを持っている。
「30分」
彼はそう言って個室へ向かった。
何か怪し気。
まさか硫化水素を発生させたりしないだろうなぁ、
などとあらぬ想像をしながら後に続く。
部屋は彼の真向かいだった。
すりガラス越しに、
彼がストレッチしているのが分かった。
間もなく彼の歌声が聞こえてきた。
知らない歌だったけど、
たぶんビジュアル系っぽい。
たぶん下手ではない。
感情を込めて熱唱している。
身振りも入っているかもしれない。
きっと今夜、
彼女の前でキメるのだろう。
硫化水素なんて、
馬鹿な妄想だった。
言うまでもなく、
ぼくの方がよっぽど怪しげだ。
帰宅したぼくは、
71歳の母と夕食を食べ、
人の背丈ほどあるツリーを見ながらケーキを食べた。
そして今年も明石家サンタを一人で見た。
みんな不幸を抱えながら、
笑い飛ばして明日を迎える。
そしてぼくはいつかの聖夜に、
必ず歌うと誓う。
●ファンレターを頂戴した。たはしろ初の快挙。2009Xmas。ぼくは十分幸せ者だと思う。ありがとう。
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