2011年1月24日月曜日

明細

ぼくが勤める会社の給与明細が、
今年から電子化されたということに、
今月の給料日になって初めて気づいた。

いかにペーパーレス社会とはいえ、
あんな紙きれをやめて、
一体どれほどの経費削減になるのかと、
首をかしげざるを得ない。

実のところ、
ぼくは入社以来の給与明細をすべて保管している。

とはいえ、
きちんと整頓されているわけではなく、
ただ部屋のどこかにはある、
という程度のものなのだが。

これは亡き親父が、
ぼくが入社した時の助言だ。

「こういうものは大事にとっておけ」

当時はその言葉の意味がよく分からなかった。

明細が200枚を超える今になって、
親父がそう言った気持ちが、
なんとなく分かる気がする。

単なる金額の羅列に過ぎない紙片ではあるけれど、
世の多くのサラリーマンにとっては、
悲しいかな給与明細の存在は、
自分が働いてきた「唯一」の物的証拠と言えなくもないのだ。

たとえば、
瀬戸大橋の建設に携わった人なら、
「あの橋を造ったのはオレだ」などと、
少なくとも死ぬまで自慢に思えるだろうが。

電子化された給与明細は、
しようと思えばプリントアウトできるそうだ。

プリントアウトねぇ。

何か違うんだよな。

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