ザックJのアジア杯優勝を振り返り、
「持ってる」のは本田でもなく、
長友でもなく、
川嶋でもなく、
ザッケローニ監督その人だと確信した。
今大会、
選手交代は3人までが認められた。
3人というと一見少ないようだが、
キーパーを除けばほぼ3割に当たる。
それだけの選手を入れ替えるということが、
どれだけ大きいことかというのを、
ザック監督は示してくれた。
これまでの日本は、
主に中盤にいる一部のスター選手を中心とする、
ほぼ固定された先発と、
控えとの扱いの差が大きく、
怪我をしたとか、
パッとしないとか、
そういう時の「代役」でしかなかったように思う。
つまり、
100あった先発の力が70に落ちたから、
交代して80に少し回復する、
みたいな。
そういう意味で、
サッカーの監督っていうのは、
結局試合が始まったら、
出来ることはあんまりないんだなというのが、
ぼくのこれまでの認識だった。
しかし今大会を通じてザック監督が見せたのは、
交代選手が単なる代役投入ではなく、
「戦術変更」という、
極めて重要な監督の「意志表明」でもあるということだ。
誰かが出場停止や怪我でリタイアしても、
だったらこの選手を使ってこういう戦い方にする、
みたいな懐の深さがあった。
試合が始まってからも、
戦力回復的な意味での選手交代は極力せず、
相手チームの出方を見て、
あるいは、
相手チームの交代選手による戦術変更に対応して、
臨機応変に選手を交代したように思う。
単なる「駒」ではなく、
個性を持ったプレーヤーとして扱われた、
「控え選手」が燃えないはずはない。
決勝戦の延長で、
投入直後に決勝ゴールを決めた李が、
まさにその象徴だった。
ピッチとベンチが一体となって相手を攻略する、
新しい日本代表の在りようを示してくれた。
松井を欠き、
香川を欠き、
それでも優勝。
ザック監督、
本物の知将である。
●写真はasahi.comより。
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