2011年10月22日土曜日

施錠

タクシー帰りをして家に入ろうとしたら、
ドアが開かない。

玄関ドアには上下2つの鍵があって、
ぼくが帰る日は上の鍵だけかけてある。

んなこと書いていいのかとも思うが、
今日はなぜか上下とも施錠されている。

ぼくは下の鍵は持っていない。

もちろん、
母はとっくの昔に夢の中だ。

とはいえ背に腹はかえられん。

母の携帯に電話する。

んが。

すぐに留守電モードになるではないか。

かくなればと、
自宅にかけてみる。

ドア越しに電話が鳴っているのは聞こえるが、
母が起きる気配はなし。

これって、
シ・メ・ダ・シ?

少し焦りが入ったぼくは、
勝手口がひょっとして鍵が開いているのではと、
そちらへ行ってみたが、
母の戸締りは万全だ。

締め忘れはない。

それは普段なら結構なことだが、
今日のぼくにはとても困ったことだ。

理由はともかく、
自分の家なのに入れないという感覚は、
なかなか虚しい。

何度か母の携帯や自宅にかけ、
無駄だと思いながらドアをどんどんしてみた。

すると、、、

家の中の明かりが灯った。

やれやれである。
寝ぼけ顔の母がドアを開けた。

「あんた何してんの」

母はぼくが会社に泊まると勘違いしていたらしい。
カレンダーにもそう書いてある。

いやいや、
よかったよ。

単なる勘違いで。

でもこれからは、
下の鍵も携帯しようっと。

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