2012年7月3日火曜日

無言

居間に降りて行くと、
とっても暑いのに、
エアコンがついていない。

なぜつけないのかと母に尋ねると、

「こんなに節電って言ってるのに、うちだけ変わらずメーターが上がってたら恥ずかしい」

この一言には、
いろんな意味でムッときた。

第一には、
そういう世間体を気にする母に。

第二に、
「節電しない奴は悪い」みたいな社会の風潮に。
もしくは、
少なくとも母にそう思わせる報道に。

第三に、
諸悪の根源である電力会社に。

こうして、
母のようなお人好しが、
しなくてもいい我慢をして、
挙げ句命を削られでもしたら、
一体どうしてくれるんだといいたい。

原発がなくても、
ちゃんと電力を安定供給できるよう、
体制を整えるのが、
電力を独占している者の義務だろう。

だからぼくは、
ムッとはきたけれど、
母には特に何も言わなかった。

だけど、
無言であることがぼくの怒りだと察したのか、
母は、

「クーラーつけると膝が痛いし」だの、
「寝る時はつけてるねんで」だの、

言い訳めいたことを繰り出し始めたので、
ぼくはさっさとエアコンのついている自室に戻った。

しばらくして再び居間に降りると、
もうエアコンがついている。

今度はぼくに迎合する母に、
再びムッときたのだが、
やはり特に何も言わず、
すぐに外出したのであった。。。








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