居間に降りて行くと、
とっても暑いのに、
エアコンがついていない。
なぜつけないのかと母に尋ねると、
「こんなに節電って言ってるのに、うちだけ変わらずメーターが上がってたら恥ずかしい」
この一言には、
いろんな意味でムッときた。
第一には、
そういう世間体を気にする母に。
第二に、
「節電しない奴は悪い」みたいな社会の風潮に。
もしくは、
少なくとも母にそう思わせる報道に。
第三に、
諸悪の根源である電力会社に。
こうして、
母のようなお人好しが、
しなくてもいい我慢をして、
挙げ句命を削られでもしたら、
一体どうしてくれるんだといいたい。
原発がなくても、
ちゃんと電力を安定供給できるよう、
体制を整えるのが、
電力を独占している者の義務だろう。
だからぼくは、
ムッとはきたけれど、
母には特に何も言わなかった。
だけど、
無言であることがぼくの怒りだと察したのか、
母は、
「クーラーつけると膝が痛いし」だの、
「寝る時はつけてるねんで」だの、
言い訳めいたことを繰り出し始めたので、
ぼくはさっさとエアコンのついている自室に戻った。
しばらくして再び居間に降りると、
もうエアコンがついている。
今度はぼくに迎合する母に、
再びムッときたのだが、
やはり特に何も言わず、
すぐに外出したのであった。。。