八月も終わりに近づき、
恒例の人事異動の季節がやってきた。
海の底にゴロリと横たわる石のようなぼくは、
忘れ去られたように不動であるが、
そこから見ている海の流れはなかなか面白い。
狙い通り出世する者、
意図せぬ場所に行かされる者、
すでに「過去」だったはずが、
不意に戻ってくる人。
海底の石とはいえ、
ぼくだってたぶん地殻の流れに乗って、
少しずつ動いているはず。
どこへ流されているのかは全く分からないけれど。
帰宅してテレビをつけると、
大曲の花火大会を生中継していた。
テレビで見る花火大会ほど、
つまらぬものもないけれど、
ぼくは7年前あそこにいたなと、
思いさせる効果はある。
7年前、
本当にカミソリの上を歩くような、
張りつめた日々。
時々ふいに脳裏によみがえっては、
何とも形容のつかない感情に教われる。
よく頑張ったよな、
オレ。
最終的には崩壊したけれど。
今の暮らしはあのころが嘘のように、
スリリングさは全くないけれど、
これを平和だとするならば、
悪くないなとも思う。
でも一方でこうも予感する。
いつかまたぼくは、
あの大曲に行くに違いない。
どんなシチュエーションで、
どんな感情を抱いてかは、
全く分からないけれど。