フランスで10年修行し、
自分の店をパリに開いた洋服のテーラーさん。
先日のプロフェッショナルは、
久々に、
これぞプロフェッショナルという感じだった。
オーダーメイドの服なんて、
作った経験はないけれど、
服という大きさの物に対して、
ミリ単位で突き詰めて行く姿勢は、
ぼくの仕事にも少しつながるところがあって、
ものすごく興味深かった。
人間、
体型は千差万別。
同じ人だって、
年齢や時期によって、
体型はどんどん変化する。
人体模型のような、
あるいはモデルのような体型の人間なんて、
事実上、
実在しないといっていい。
いびつで不格好な人間を、
機能的に包みながら、
尚かつ格好よく見せる。
一着作り上げるのに、
確か100時間って言ってたな。
だから、
年間に手がけることができるのは、
MAX50着だという。
そりゃ何十万円もするよな。
で。
この番組のキモは、
そこではない。
フランス人の国民性についてだ。
この日本人テーラーは、
パリの専門学校を首席で卒業して、
とある店に勤める。
何年も頑張って、
実力は誰もが認めているのに、
一向にカッターという役に就けない。
思いあまって上司に直訴したところ、
こう言われたそうだ。
「君がカッターになったら客が一人も来なくなる」
これは彼に実力がないという意味ではない。
簡単に言えば人種差別。
この一言で、
彼は街の景色が一変して見えたと語っていた。
どんなに頑張って実力があっても、
アジア人だからというだけの理由でノー。
これは辛い。
で、
彼はすっかりノイローゼになっちゃうんだけど、
8か月たったころ、
超一流の店からカッターとして雇いたいと電話が入る。
なんとこれ、
彼がフランスで通った専門学校の校長が、
毎日のように電話して彼を推薦したからだった。
もちろん、
新しい店でも注がれる目は厳しかったらしいけど、
彼はそれに耐えた。
そして数年。
上司がついに言った。
「わかった。君には教えよう」
なんかすごいね。
で。
彼は言う。
フランス人は一度友だちになると、
ずっと親身でいてくれる。
自分がいい時も、
駄目になっても、
ずっと親身でいてくれる。
とっても深いですね。
なぁーるほど。
フランス人って、
一般に外国人に冷たいって言われるけれど、
実は日本人に似ているのかもね。
つーか。
親友って、
そんなもんだよね。
あと。
仕事の調子がいい時には、
パターンを引いていて、
さっと物差しを投げたところが、
まさに線を引きたいところだとか、
わかる〜って感じ。
一度でいいからオーダーメイドの服を、
作ってみたくなった。