たまたま見た男子ゴルフで、
感動的な場面を見てしまった。
宮里優作33歳。
プロ11年目でいまだ勝利なし。
その宮里が、
今シーズン最後の大舞台日本シリーズで初優勝したのだ。
最終18番ホール。
その時点で2位に3打差。
パー3のショートホールを、
5打以内で上がればOK。
プロであれば、
楽勝のはずなんだけど、
ここが初優勝の難しさ。
緊張のあまりか、
力の入り過ぎか。
第1打はグリーン左に外した。
でも、
ここから4打で入れればいい。
まだまだ余裕。
のはずだった。
ところが。
グリーンわきのラフから打った2打目が、
強く当たりすぎて、
グリーン反対側のラフまで行ってしまった。
ゴルフは極めて精神的なスポーツ。
ここにくると、
あと3打もあるのだから、
という感じではなくなってくる。
もし、
次のショットが、
前と同じように強く当たって、
またもやグリーンオーバーにでもなれば、
一気にわからなくなってくる。
300ヤードのドライバーも、
10センチのパッとも1打は同じ。
ここが難しい。
初優勝目前の宮里の、
悲願の初優勝に向けた最後の試練だった。
その注目の3打目。
冷静に考えれば、
ピンのそばに寄せるだけでよかった。
解説の青木さんも、
狙いすぎるな、
みたいなことを言っている。
なのに緊張MAXの宮里、
マジで狙って打っちゃった。
アチャーと思いきや、
球は何とカップイン。
足を折って泣き崩れる宮里。
宮里藍の兄として注目されながら、
妹の活躍の影で1勝もできず、
もがき苦しんだ11年。
あの瞬間、
すべての呪縛から開放されたかのようだった。
ゴルフの神様が微笑んだ瞬間だった。