2009年8月17日月曜日

質種

質屋というのは、
金を返せなければ質種が流されるだけだから、
いわゆる「借金地獄」に陥る心配がない。

学生時代、
ちょっと高価な万年筆を何度か質入れした。
月末になると、
それで数千円を手に食いつなぎ、
金が入ると引き出す。
結局、
最後には万年筆は流れてしまったのだが、
今となっては懐かしい思い出だ。


実は学生時代に50万円借金したことがある。
就職試験までの半年間、
バイトをすべて辞め、
その金で食いつなぎ、
すべての時間を勉強に充てた。

そのかいもあって、
何とか就職して借金も1年ぐらいで完済した。
危ない橋だったと思うけど、
それも今では良い語り草だ。


借金はそれが最初で最後。
家も車も手放したから、
ローンという名の借金もない。
葬式代ぐらいの貯金もあるから、
今死んでも、
金の面で見れば人生はチャラだ。

しかし、
金じゃない人生の負債は相当に抱え込んだままだ。
どうしても返さなければ気が済まない、
心の負債があるからこそ、
生きているようなものだとも言える。

この身が質種のような気分だ。

万年筆の二の舞は避けたい。

質流れはご免だ。

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