2009年10月20日火曜日

鏡像

鏡に映った自分を見て、
人は「これはぼくだ」と思う。

人は自分を常に省みて、
次の自分の行いを決めていくのだけれど、
鏡で自分の背中を見ることはできない。













ルネ・マグリットの「不許複製」を見て、
そんな当たり前なことを改めて思う。

自分を省みているだけでは、
人はきっと自分を客観視できないのだ。


だから人が本や映画や、
あるいは助言や忠告や、
診断や採点や、
その他「自分以外」のあらゆるものを欲するのは、
「自分は何者か」を知るためだ。

他者はすべて、
自分を映す鏡だ。


先日、
他人の愚かな失敗談を聞く会に参加した。

次々に披露される、
笑えるほど悲しい話を、
ただ黙って真摯に聞いた。

あなたがたの話はぼくを写す鏡だ。

そうだ。
あなたはぼくだ。

そう思いながら、
静かに聞いた。

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