先日時間つぶしのつもりで本屋に入り、
たまたま目にとまったのが、
「陰日向に咲く」(劇団ひとり著、幻冬舎文庫)だった。
ベストセラー街道まっしぐらの時、
あえて無視をきめこんだのだけど、
もう文庫になってるんだ。
そう思って奥付を見ると、
去年の8月に初版が出て、
もう9版になっている。
著者が週刊文春に連載しているエッセーが面白いから、
そろそろ読んでみるかと買ってみたら、
予想通り面白かった。
元々が200ページぐらいの薄い本なのに、
5編の短編で構成されているなんて、
全然知らなかった。
平均で一話40ページだから、
ほとんどショートショートの世界。
ある話での脇役が、
次の話では主役になって、
その脇役が次に主役になって、
さらに最初の話の主役が脇役で出てくるみたいな、
オムニバスというより、
全編スピンオフ。
笑える話、
ほろりとくる場面。
主人公に自分を重ね、
時に応援したくなる。
巻末の解説を実父が書いているというのが、
笑わせてくれる。
話はちょっと変わるが、
「最近気付いたことは何ですか」と尋ねられ、
「自分が根性なしということ」と答えた。
でも実はちょっと違う。
やっぱりこう答えるべきだった。
「中途半端が一番いかん」と。
人間何がいかんといって、
中途半端ほどいかんものはない。
それが最近ぼくが一番強く気付いたことだ。
でもね、
実際の話、
中途半端じゃない生き方なんて、
なかなかできません。
「陰日向に咲く」の主人公たちと同じ。
なるほど、
ベストセラーには訳があった。
NHKトップランナーで、
華道家の前野博紀という人を知る。
30歳で脱サラして、
花屋でバイトを始めたという。
「ノックし続けていれば『うるさい』とドアを開けてくれるかもしれない」
そんなことを言っていた。
中途半端ではない生き方とは、
そういうもんだなと一人合点した。
●元町に行ったがペンギンさんはお休み中で。住吉でジャンカラに行って、パフェを食べて帰った。
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