2010年1月10日日曜日

合点

先日時間つぶしのつもりで本屋に入り、
たまたま目にとまったのが、

「陰日向に咲く」(劇団ひとり著、幻冬舎文庫)だった。

ベストセラー街道まっしぐらの時、
あえて無視をきめこんだのだけど、
もう文庫になってるんだ。

そう思って奥付を見ると、
去年の8月に初版が出て、
もう9版になっている。

著者が週刊文春に連載しているエッセーが面白いから、
そろそろ読んでみるかと買ってみたら、
予想通り面白かった。

元々が200ページぐらいの薄い本なのに、
5編の短編で構成されているなんて、
全然知らなかった。

平均で一話40ページだから、
ほとんどショートショートの世界。

ある話での脇役が、
次の話では主役になって、
その脇役が次に主役になって、
さらに最初の話の主役が脇役で出てくるみたいな、

オムニバスというより、
全編スピンオフ。

笑える話、
ほろりとくる場面。

主人公に自分を重ね、
時に応援したくなる。

巻末の解説を実父が書いているというのが、
笑わせてくれる。


話はちょっと変わるが、
「最近気付いたことは何ですか」と尋ねられ、
「自分が根性なしということ」と答えた。

でも実はちょっと違う。

やっぱりこう答えるべきだった。

「中途半端が一番いかん」と。

人間何がいかんといって、
中途半端ほどいかんものはない。

それが最近ぼくが一番強く気付いたことだ。


でもね、
実際の話、
中途半端じゃない生き方なんて、
なかなかできません。

「陰日向に咲く」の主人公たちと同じ。

なるほど、
ベストセラーには訳があった。


NHKトップランナーで、
華道家の前野博紀という人を知る。
30歳で脱サラして、
花屋でバイトを始めたという。

「ノックし続けていれば『うるさい』とドアを開けてくれるかもしれない」

そんなことを言っていた。


中途半端ではない生き方とは、
そういうもんだなと一人合点した。


●元町に行ったがペンギンさんはお休み中で。住吉でジャンカラに行って、パフェを食べて帰った。

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