ぼくは料理ができない。
大学生の時から10年間の独身時代も、
その後の都合10年ほどの結婚時代も、
自炊とは無縁で通した。
独身時代は外食か、
せいぜい惣菜を買ってきて、
済ませ、
結婚時代は奥さん頼り。
もうそれだけで、
イマドキの基準でいけば、
博物館行きの結婚不適格者かもしれないけど。
そんなぼくではあるが、
唯一得意料理だと思っているのが、
「素麺」だ。
鍋いっぱいに煮立った湯の中に、
素麺の束を円を描くように入れ、
「びっくり水」も忘れず、
茹で具合を確かめて火から降ろし、
冷水で一気に冷やしながら、
表面の油分を流し落とす。
一番肝心なのは茹で加減なのだが、
その秘訣は「勘」である。
それ以外にない。
ぼくはその時ばかりは素麺の気持ちになれる。
食べる時にもこだわる。
氷は冷蔵庫の氷はNG。
是非ともコンビニ氷といきたいものだ。
でも、
つゆは市販ので十分だ。
こんなこと書いているのは、
今朝テレビで素麺についての特集を見たからだ。
素麺の原型は何と奈良時代からあったそうで、
そのことは「麦縄」と言ったという。
素麺があんなに細いのは、
乾燥させて保存食にするためだったという。
機械化された今でさえ結構大変な工程を、
当時の人たちが手仕事でやっていたことに驚かされる。
そんあに手間暇かけて作った素麺でも、
食べる時はほんの数分。
でも、
あの食感は好きだなぁ。
最近は素麺さえ自分で作ることはなく、
完全に母に頼りっきりだ。
お陰で栄養状態は申し分ないけど、
料理は結局出来ぬままアラフィフになりそうだ。
いつか「男の一人料理教室」なんかに、
通う羽目になるのだろうか?
いやきっと、
とことん自炊とは無縁で通すだろう。
●でも外食で素麺は食べない。素麺はぼくにとっては、家で食べるものだ●そりゃ本を片手に料理を作ったことはありますよ。美味しかったですよ。でも面倒なんだよ。とにかく。
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