2010年5月13日木曜日

臨場

テレビ朝日系「臨場」が面白い。

警察の検視官が主役のドラマで、
昨年第1シリーズが放映されたらしいが、
それは全然知らずに今の第2シリーズを見ている。

横山秀夫の原作も読んでないので、
どれぐらい原作に忠実なのかもわからないのだが、
とにかく脚本が秀逸だと思う。

いささかご都合主義的で、
ベタと言えなくもないんだけど、
人間のドロドロした、
通り一遍の言葉では表現できないような部分を、
検視官という職業を通じてあぶりだす。


昔、
「死体は語る」という本があったと思うけど、
死体や、
死体のある状況というものが、
これほど雄弁に語るものだと、
感心させられる。

主役の内野聖陽が、
ぼくと同じ年齢の検視官を演じていて、
そのいささか過剰にも思える演技が、
地味で暗くてダサい話を、
グイグイと引っ張っている。


第5話「カウントダウン」は、
独居老人の孤独死を題材にしていた。

ダイイング・メッセージというか、
死を選ぶことで伝えたかった、
おじいさんの思いが切なかった。


だれにでも人生の中には、
その人なりに一番輝いていた時期がある。

孤独に死んでいく人はみな、
そういう記憶を反芻しながら、
生きているのだろうか。

誰とも分かち合うことのできない思い出を、
たったひとりで抱えたまま、
永遠の眠りにつく日を待つのだろうか。


ぼくなんか、
この年でさえ時々、
昔味わった様々な感触が不意に去来し、
落涙しそうになることがある。

古いワインの底に溜まった澱のような、
淡いけど、
確かに存在する喜怒哀楽の感触。

そういうのに気付くことが、
多くなってきた。

これって、
お先短い予兆か?

0 件のコメント:

コメントを投稿

遺志

30日は親父の13回忌だ。 あーそんなになるのか、 と言うのが率直な感想。 親父が亡くなる直前、 僕は酒を辞めた。 復職して最初のボーナスが出た日、 入院していた病院に行って報告した。 もう親父はかなり弱っていて、 ほとんど喋れなかった。 でも...