2010年5月26日水曜日

頭角

「それまでの自分の完全否定」

そう本田圭佑は言った。


きょうのNHK「スポーツ大陸」のひとコマ。

2年前、
オランダのクラブに移籍した彼が、
日本代表として注目されるようになったのは、
この半年ほどの間。

番組はその半年に密着していた。

彼はオランダのクラブではすでに、
確固たる地位を築いていて、
「カイザー(皇帝)」とまで呼ばれていた。

2年前に彼が完全否定したものとは何で、
ゼロから作り上げようとしているものは何か。

番組を見て、
ある程度わかった気がした。


簡単に言えば、
パスをきれいにつないでゴールするのではなく、
どんなポジションのプレーヤーでも、
シュートできるときには打つということだ。

「あと一本パスをつないで」

という日本的サッカーは、
世界レベルでは「遅い」というわけだ。


彼の言っている事はとてもよく理解できたし、
それを彼が実践していることも、
先日の韓国戦などから伝わってきた。

ハイリスク・ハイリターン

そういうサッカーを志向し、
生き方もそう改めたのだ。


しかし、
それは日本的サッカーの完全否定でもある。

問題なのは、
そういう彼が今、
日本代表の中心選手となることである。

この4年かけて、
中村俊輔を中心としたチームへと、
ようやくまとまりかけてきた日本代表にとって、
今の彼の存在はまさに「爆弾」だ。

「積み上げてきたものが消えてきている」

中村の韓国戦後の言葉は、
「本田ショック」を端的に表していると思う。


本田は野心的で努力家で魅力的な選手だ。

でも、
W杯本番までに彼を中心としたチームに作り変えるには、
あまりにも時間がなさすぎる。

彼自身だって2年かけてたどり着いたのだ。


もう少し、
本田が頭角を現す時期が早ければなぁ。

きっと今度のW杯は、
中心が中村か本田か、
どっちつかずのまま共倒れになりそうだ。


しかし、
たとえ結果W杯が惨敗に終わろうとも、
日本サッカーの将来のためには、
必要な過程なのかもしれない。

劇的進化を遂げる時に、
たまたまW杯本番の時期が当たってしまったと。

そういう目で見れば、
案外W杯も楽しめそうだと思った。

●いまさら進退伺いする岡田監督は論外だけど。

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