2010年5月1日土曜日

応酬

ボクシング世界戦をテレビ観戦した。


WBCバンタム級王者の長谷川穂積が、
WBO同級王者のモンティエルを迎え撃つ、
注目の一戦だ。

防衛に成功すれば11連続となる長谷川。

減量も順調で、
絶好調と言われた。


しかし相手も強敵。

開始のゴングとともに、
リングを覆ったのは、
世界一流同士の駆け引き。

その一つ一つは素人には難しく、
あまりに素早くて理解がついていかないのだけど、
反射神経の限界を超えた応酬すごさは、
ビシビシ感じた。


一回を終えてコーナーに帰った長谷川は、

「強いわ」

と言ったように見えた。


同じリングに立ち、
3分間こぶしを交えた時点で、
両者とも相手の力量を認め合った。

そんな風に感じた。


長谷川優位で進んだ4回も残り10秒。

このラウンドも長谷川のもの、
のはずだった。

それが、
モンティエルの左フックが当たって、
すべてがひっくり返った。










長谷川の腰が沈んだかと思うと、
モンティエルは猛ラッシュをしかけ、
長谷川はあっという間にロープ際まで追いやられる。

長谷川はダウンすまいと、
必死で左手をロープに絡ませる。

モンティエルもまた、
長谷川にダウンをさすまいと、
下から下からパンチを繰り出す。

結果的に長谷川はメッタ打ちされ、
ついにレフリーが割って入った。

2分59秒、
TKO負け。

ほんの一瞬の気の緩みが命取りとなり、
長谷川は5年間守った王座から陥落した。


長谷川が早々にダウンしていれば。。。

レフリーがあと1秒待ってくれていれば。。。


ボクシングの迫力とスピードと、
緻密さと残酷さを知った。

ボクシングの魅力が詰まった試合だった。

これまで長谷川は本当に強いチャンピオンだと思っていた。

この一戦で、
その評価は下がるということはなく、
むしろ、
こんな世界で5年も世界一であり続けたすごさを知ったように思う。

長谷川は負けたけど強い。


いいものを見たと思った。


●写真はSANSPO.COMから借用しました。

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