梅田ヨドバシで買い物を済ませ、
1階のオープンカフェで一服していたら、
目の前に黒ぶちメガネをかけた若い男が立って、
ぼくに向かって何か話しかけている。
イヤホンで音楽を聞いていたぼくに向かって、
どうやら彼はイヤホンをはずすよう、
身振りで促している。
言われるままイヤホンをはずすと、
彼は早口で何かを言ったのだが、
正確には聞き取れなかった。
でも、
彼が右手に駐車券みたいなものを持っていて、
「領収書」という単語を口にしたので、
だいたい彼の言いたいことはわかった。
つまり彼は、
駐車料金を浮かせたいから、
ぼくが買った品物のレシートをくれと言っているのだ。
セコイ発想なようだが、
見も知らぬぼくに話しかけてくるとは、
なかなか大胆なヤツだと思いながら、
ぼくはこう返事した。
「このレシートは製品の保証書にもなってるから、返してくれるなら貸してあげるけど」
するとヤツは「わかりました」と返事をして、
ぼくからレシートを受け取り、
どこかへ消えた。
さて彼は返しに来るかなと、
大して期待もせずコーヒーを飲んでいると、
彼は5分ぐらいして戻ってきて、
「ありがとうございました」とレシートを両手で差し出し、
軽く一礼した。
ぼくはそれを受け取り、
軽く笑って会釈した。
こういうちっちゃな善意の応酬って、
旅先なんかではたまにあるけど、
世知辛い街中ではなかなか巡り合えない。
この気分のよさは、
ささやかでも誰かの役に立てたということと、
ささいなことであっても誰かを信じて、
それに相手が応えてくれたことにある。
今思い返しても笑顔になれる。
好日なり。
●それにしてもヨドバシは大人のおもちゃ屋だ。ぶらぶら歩いているだけで、何度も「すげぇ」って心の中で言ってしまう●このカヴァーは好きだ。http://www.youtube.com/watch?v=W9JnYr3n-6w
0 件のコメント:
コメントを投稿