2010年10月5日火曜日

笑顔

梅田ヨドバシで買い物を済ませ、
1階のオープンカフェで一服していたら、
目の前に黒ぶちメガネをかけた若い男が立って、
ぼくに向かって何か話しかけている。

イヤホンで音楽を聞いていたぼくに向かって、
どうやら彼はイヤホンをはずすよう、
身振りで促している。

言われるままイヤホンをはずすと、
彼は早口で何かを言ったのだが、
正確には聞き取れなかった。

でも、
彼が右手に駐車券みたいなものを持っていて、
「領収書」という単語を口にしたので、
だいたい彼の言いたいことはわかった。

つまり彼は、
駐車料金を浮かせたいから、
ぼくが買った品物のレシートをくれと言っているのだ。

セコイ発想なようだが、
見も知らぬぼくに話しかけてくるとは、
なかなか大胆なヤツだと思いながら、
ぼくはこう返事した。

「このレシートは製品の保証書にもなってるから、返してくれるなら貸してあげるけど」

するとヤツは「わかりました」と返事をして、
ぼくからレシートを受け取り、
どこかへ消えた。

さて彼は返しに来るかなと、
大して期待もせずコーヒーを飲んでいると、
彼は5分ぐらいして戻ってきて、
「ありがとうございました」とレシートを両手で差し出し、
軽く一礼した。

ぼくはそれを受け取り、
軽く笑って会釈した。

こういうちっちゃな善意の応酬って、
旅先なんかではたまにあるけど、
世知辛い街中ではなかなか巡り合えない。

この気分のよさは、
ささやかでも誰かの役に立てたということと、
ささいなことであっても誰かを信じて、
それに相手が応えてくれたことにある。

今思い返しても笑顔になれる。

好日なり。

●それにしてもヨドバシは大人のおもちゃ屋だ。ぶらぶら歩いているだけで、何度も「すげぇ」って心の中で言ってしまう●このカヴァーは好きだ。http://www.youtube.com/watch?v=W9JnYr3n-6w

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