わが家の下水溝の蓋が、
今日、
なぜかズレていたらしく、
不思議に思った母が中をのぞいて驚愕した。
その理由を述べる前に、
少し説明すると、
わが家の下水は、
地下を通っているパイプを通じて排出されるのだが、
そのパイプに対して垂直に別のパイプが接続されている。
感じとしては、
ちょうど凸のようなイメージ。
その凸の上端のところが地面で、
そこに蓋があって、
直径は10センチほど。
深さ、
つまり地中を通る下水パイプまでの深さは30センチぐらい。
で、
母が見た物とは、
この凸部分に繁茂した木の根だった。
庭に植わっている一本の木の根が、
塩ビパイプを貫通して、
凸型の部分を埋め尽くそうとしていたという。
わが家は築13年なので、
まぁ10年ぐらいはゆうにかかったと思われる。
下水溝の蓋がズレていたのは、
パイプが少しずつ詰まった状態になって、
とうとう今日、
汚水が下から持ちあげた、
ということらしい。
今日初めてその事態に気付いた母は驚愕し、
剪定ばさみでパイプ内に侵入した根の根もとを断ち、
パイプ内をのたうつ根を引きずりだしたそうな。
それは直径3センチほどで、
長さはゆうに1メートルはあったという。
もちろん母がそんな格闘をしている間、
ぼくは夢の中。
知るよしもない。
「そりゃびっくりしたわ」
目を見開いて説明する母に、
「生まれて一番の驚き?」とちゃかすと、
「そう」と大真面目な返事。
「空襲よりも?」
「そんなん忘れた」
「震災よりも?」
「あの時は寝てたから」
生まれて72年あまり。
きょう、
人生最大の驚きを経験した母。
長生きもいいもんだなと、
少しばかり思った。
●惜しむらくは写真を撮ってないこと●久し振りに西北のジュンク堂に行った。やっぱ本屋っていいね。
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