2011年5月19日木曜日

極意

最近のお気に入り番組のひとつがNHK「ディープピープル」だ。

各界のプロフェッショナル3人が語り合う形式で、
思わずもれる本音とか、
素人相手では決して出てこないような業界用語が、
その極意とともに紹介され、
確かに「深い」と感じさせられる。

今日見たのはバレーボールのセッター。

出演者は日本代表の竹下佳江、
元日本代表の中田久美と、
男子の元日本代表で、
今は日本女子バレー監督の眞鍋政義監督。


大体普通に考えて、
レシーブされた球を、
背後の見えないスパイカーに向けてバックトスするなんて、
しかもそれを大中小の距離を上げ分けるなんて、
それだけで神業。

特に日本人の場合、
背が低いというハンデと戦わねばならず、
そのためには、
いかに相手のブロックをかいくぐってスパイクを打つかがカギで、
当然セッターの役割はほかの国以上に大きい。

その中でも、
いいトスというのは「死んだトス」というのだそうだ。

「死んだ」と言われれば、
悪いイメージを抱くけど、
ここで言う「死んだ」とは「勢いがない」というような意味らしい。

練習で何時間もトスを上げ続け、
いよいよ腕が上がらないぐらいになった時、
体と指先だけでフワッと上げる感じがつかめるのだと、
三者が口をそろえて言ってた。

これって脱力とは当然違う。

人間完全に脱力したら、
立っていることすらできない。

必要十分かつ、
余計な力がまったく入らない状態。

これって絶対歌にも通じると思う。

どんな音程でも力みなく暖かく、
それでいて心のど真ん中を撃ちぬくような歌。

それをこれからは、
マイ用語として「死んだ歌」と名付けよう。

●「FIREFOX」(クリント・イーストウッド監督)。東西冷戦の最中、ソ連が開発した新型戦闘機を盗み出すというお話。

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