原田芳雄が死んだと知ったのは、
午後1時30分過ぎだった。
ちょうど仕事の最中で、
最初の印象は「えっ」という驚きだった。
その驚きは、
昨年のテレビドラマ「不毛地帯」での、
「大門」という社長役を演じていた、
見事な演技っぷりが強烈に残っていたからだが、
実際は当時から大腸がんに侵されていたのだ。
最近の映画の舞台挨拶では、
やせこけた姿を見せ、
そんなに長くはないと人々に思わせていたらしいのだが、
ぼくはそれを見ていなかった。
彼の代表作が「ツィゴイネルワイゼン」とか「田園に死す」とか、
そんな雑学は頭にあったけど、
実際にはそのどちらも観てはいなかった。
ぼくにとって原田芳雄は、
無頼派とかアウトローのイメージはあったものの、
実際の演技といえば、
さっき言った「不毛地帯」ぐらいしか知らなかったのだ。
にもかかわらず、
彼の死はやはり驚きであり、
そういう得体の知れない存在感こそが、
原田芳雄なのだとも思えた。
人は死んだ時初めて、
その人生に一定の評価が与えられるのだが、
その形は千差万別である。
単に有名人といっても、
かつて大活躍した人もいれば、
現役バリバリの人もいる。
失礼ながら、
死んだと聞いて初めて、
まだ生きてたのかと驚く人もいる。
80歳を超えているような人の場合は、
死んだと聞いてもさほど驚かないが、
50歳台ぐらいだと、
自分と近いから驚きは増す。
死後どんどん評価が高まる人もいれば、
その逆の人もいる。
時代によって評価が分かれる人や、
周期的に再評価される人もいる。
そういう意味で、
故人の評価は、
本当に難しい。
話は飛ぶが、
有名人でかつ、
その死が衝撃的だったのは、
ぼくにとっては日本人では三島由紀夫だ。
彼が割腹死して、
その後介錯された頭部がごろりと転がる、
朝日新聞の写真を覚えている。
調べてみると、
その写真はすぐに別カットに差し替えられたといい、
どいうことは、
ぼくが見たのは差し替えられる前のものだったのだろう。
その写真と思われるものを、
ネットで見つけた。
ここに載せるにはやっぱり衝撃キツイな。
話がどこまでも飛んでいくが、
三島にしたってぼくは、
彼の作品はほとんど読んでいない。
よく知らないで、
イメージだけで知った気になるのは、
実に情けなく、
危険なことだ。
原田芳雄、
享年71歳。
合掌。
●外国人では間違いなくジョン・レノンだな●ツィゴイネルワイゼンを早速観ようと思う。
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