2011年7月20日水曜日

亡者

原田芳雄が死んだと知ったのは、
午後1時30分過ぎだった。

ちょうど仕事の最中で、
最初の印象は「えっ」という驚きだった。

その驚きは、
昨年のテレビドラマ「不毛地帯」での、
「大門」という社長役を演じていた、
見事な演技っぷりが強烈に残っていたからだが、
実際は当時から大腸がんに侵されていたのだ。

最近の映画の舞台挨拶では、
やせこけた姿を見せ、
そんなに長くはないと人々に思わせていたらしいのだが、
ぼくはそれを見ていなかった。

彼の代表作が「ツィゴイネルワイゼン」とか「田園に死す」とか、
そんな雑学は頭にあったけど、
実際にはそのどちらも観てはいなかった。

ぼくにとって原田芳雄は、
無頼派とかアウトローのイメージはあったものの、
実際の演技といえば、
さっき言った「不毛地帯」ぐらいしか知らなかったのだ。

にもかかわらず、
彼の死はやはり驚きであり、
そういう得体の知れない存在感こそが、
原田芳雄なのだとも思えた。

人は死んだ時初めて、
その人生に一定の評価が与えられるのだが、
その形は千差万別である。

単に有名人といっても、
かつて大活躍した人もいれば、
現役バリバリの人もいる。

失礼ながら、
死んだと聞いて初めて、
まだ生きてたのかと驚く人もいる。

80歳を超えているような人の場合は、
死んだと聞いてもさほど驚かないが、
50歳台ぐらいだと、
自分と近いから驚きは増す。

死後どんどん評価が高まる人もいれば、
その逆の人もいる。

時代によって評価が分かれる人や、
周期的に再評価される人もいる。

そういう意味で、
故人の評価は、
本当に難しい。

話は飛ぶが、
有名人でかつ、
その死が衝撃的だったのは、
ぼくにとっては日本人では三島由紀夫だ。

彼が割腹死して、
その後介錯された頭部がごろりと転がる、
朝日新聞の写真を覚えている。

調べてみると、
その写真はすぐに別カットに差し替えられたといい、
どいうことは、
ぼくが見たのは差し替えられる前のものだったのだろう。

その写真と思われるものを、
ネットで見つけた。
ここに載せるにはやっぱり衝撃キツイな。

話がどこまでも飛んでいくが、
三島にしたってぼくは、
彼の作品はほとんど読んでいない。

よく知らないで、
イメージだけで知った気になるのは、
実に情けなく、
危険なことだ。














原田芳雄、
享年71歳。

合掌。

●外国人では間違いなくジョン・レノンだな●ツィゴイネルワイゼンを早速観ようと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿

遺志

30日は親父の13回忌だ。 あーそんなになるのか、 と言うのが率直な感想。 親父が亡くなる直前、 僕は酒を辞めた。 復職して最初のボーナスが出た日、 入院していた病院に行って報告した。 もう親父はかなり弱っていて、 ほとんど喋れなかった。 でも...