格子状に張り巡らされた光線が、
兵隊の体を一瞬で通り抜ける。
直後は、
何の変化もないように見えた兵隊。
が、
その直後、
彼の体はバラバラの細切れ肉になって崩れ落ちる。。。
映画「バイオハザード」の一場面を、
「朽ちていった命ー被爆治療83日間の記録ー」(新潮文庫)を読んで、
思い出した。
1999年に起きた東海村JCO臨界事故といって、
みなさんピンとくるだろうか?
核燃料を作る作業中に、
原料のウラン溶液が誤って臨界反応を起こし、
作業員2人が死亡した事故だ。
そのうちの一人、
大内久さん(当時35歳」の、
壮絶な記録である。
臨界現場の最も近くにいた大内さんは、
猛烈な中性子線を浴びたのだが、
病院に搬送された当初は、
外見は手に日焼けをした程度の赤みが見られたほかは、
特に大きな変化はなく、
会話も普通にできて、
とても致死量の被曝をしたようには見えなかったという。
でもこの時すでに、
大内さんの染色体は中性子線でズタズタに切り裂かれていた。
染色体が崩壊しているということは、
体の「設計図」がなくなっているということで、
つまり、
細胞が死んでも新しい細胞が作り出せない、
簡単にいえばそういう状態だったのである。
83日間にもわたって彼が延命できたのは、
当時として考えられ得る最高の対処療法をしたためであり、
彼の運命は、
臨界で中性子線を浴びた瞬間に決まっていたといっていい。
福島原発事故と同列に並べて考えることはできないが、
「被曝する」ということが一体どういうことなのか知るうえで、
一読に値すると思う。
この本の著者は、
『NHK「東海村臨界事故」取材班』。
元々はテレビドキュメントで、
YouTubeでも見ることが可能だ。
制作者と、
取材を許可した大内さんの家族に敬意を表する。
http://www.youtube.com/watch?v=pYB58P3t_Hs&playnext=1&list=PL3D78CD7FC6C57CA8
●先日紹介した「原発のウソ」著者の小出裕章氏の講演はこれ。http://www.youtube.com/watch?v=4gFxKiOGSDk&feature=related
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