2011年12月9日金曜日

呆気

出勤前、
いつものようにドトールで一服していたら、
横から手が伸びてきて、
机上の百円ライターを持って行った。

ビックリして手の持ち主を見ると、
どう考えても20歳代の女性。

「貸してください」とでも言ったのかもしれないが、
ぼくはイヤホンをしている。

言っていたのだとしても、
かなり強引だ。

でも別にいいやってほっといたら、
一応「どうも」って感じで返してきた。

それで終わりかと思いきや、
再び手が。
またかよ、
と内心思いつつ黙っていると、
今度はなかなか返ってこない。

見ると女はライターの火で、
バッグの何かを溶かしている。

まったく不可解なのだが、
それでもほっておくと、
やっと返してきた。

「先焦げちゃった」

女はそう一言。

ライターを変な向きにしていたから、
先端が焦げたのだ。

本当ならば、
ここは怒るところなんだろうけど、
不思議と怒りの感情が湧かない。

ただただ呆気にとられた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

遺志

30日は親父の13回忌だ。 あーそんなになるのか、 と言うのが率直な感想。 親父が亡くなる直前、 僕は酒を辞めた。 復職して最初のボーナスが出た日、 入院していた病院に行って報告した。 もう親父はかなり弱っていて、 ほとんど喋れなかった。 でも...