2011年12月24日土曜日

美化

NHKスペシャル「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」、
かなり期待して録画を見たけどがっかり。

伝記を読んだ人としては、
何一つとして新しい情報はなかった。

それどころか、
必要以上に彼を持ち上げているような節があって、
違和感すら抱いた。

別に嘘が混じっているわけじゃないのだけど、
「世界を変えた」という部分にこだわって、
それに都合のよいエピソードだけを、
つぎはぎしたような作りだ。

こうして偉人は美化される。

そういう見本という意味では価値があるかもしれない。

しかしそんなことが言えるのも、
すでに本人「公認」の伝記があるからで、
あれを読まないでこの番組だけ見ていたら、
かなり偏った印象を持ってしまうかもしれない。

ただ、
伝記にはなく番組にあった部分、
つまり彼が写っている動画はなかなか興味深かった。

Appleを追われるように辞めた彼が、
NeXTというパソコンを作ろうと、
新しい会社の社員に訓示しているシーンだ。

ホワイトボードの前で、
「来年までに完成できないなら何年かかっても無理」
とか檄を飛ばしているんだけど、
社員の方はカーペットの上に座り込んだり、
椅子にだらしなく腰掛けたり、
ちょうど、
アメリカの学校の授業風景みたい。

いくら自由な気風とはいえ、
曲がりなりにも社長が訓示しているのに、
社員があの態度って、
日本ではおよそ考えられない。

それにしても、
既成概念にとらわれず、
全く新しい利便性や快楽を世界に提供し続けた彼が、
会社では暴君のごとく振る舞い、
敵を作りまくっていたっていうのは、
何とも皮肉なもんだ。

あそこまでやらないと、
世界は変えられないんだと、
それはよく分かりました。

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