2013年10月25日金曜日

結託

「原発ホワイトアウト」(若杉冽著、講談社)を読んだ。

福島原発以後の日本を描いた小説。

著者は東大法学部出身の現役の官僚ということだけど、
もちろん匿名。

でも中身はメチャクチャ面白かった。

というより恐ろしかった。

電力会社がどのように政治と関わり、
持ちつ持たれつの関係になっているか。

小説に登場する人物や原発名は全部仮名になっているけれど、
読めばすぐに実在のだれを指しているかわかる。

再稼働に向けて全力を傾ける電力会社。

阻止しようとするジャーナリスト。

小説では、
再稼働に慎重な新崎県の伊豆田知事が国策捜査で逮捕される。

そしてその新崎県の新崎原発がテロに遭って、
再びメルトダウンを起こす、、、

小説というより、
小説のプロットというような、
荒削りな内容だけど、
それだけに妙に生々しいというか、
現実ってそういうことなんだろうなぁと、
想像するには十分な内容だ。

たとえば、
国会周辺で盛んだったデモ行進。

あれだって、
首謀者を尾行して、
微罪で逮捕したり、
参加者の近所を警官が訪問して、
あそこの誰それさんはどんな人物か、
とかやるだけで、
もう怖がって参加しなくなる、
みたいな。

電力と国家権力が結託すれば、
この国の世論を誘導することなど、
実に容易いのだと思い知らされる。

そういえばちょうど先日、
Nスペで「原発テロ」というのをやってた。

あんなのも、
一般向けのプロパガンダだろう。

だから原発再稼働は大丈夫です。

でも現実問題として、
日本中の原発をテロから守るなんて不可能だと思う。

この小説でのテロは、
豪雪に見舞われた新崎原発への、
送電線を爆破するというもの。

原発本体を襲わなくても、
原発を無電源状態にしてしまえば、
簡単にメルトダウンを起こすことは、
もう日本国民の常識。

そういえば以前、
四国で高圧線鉄塔のボルトが抜かれるという、
奇怪な事件があったな。

その気がある人間にかかれば、
原発はいとも容易く崩壊させられる。

別にミサイルはいらない。

そしてこの小説が一番怖いのは、
2度目のメルトダウンが現実になってなお、
電力会社は早速再稼働へのシナリオをねりはじめる、
最後の部分だろう。


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